長尾の地車は、上地車に属する社殿型の地車です。勾欄(こうらん)の前の張り出しが大きい点は俄(仁輪加)を演じるための石川型に近いですが、千鳥破風の屋根は明らかに特異的です。また、インターネットのホームページによる情報では彫師は小松一門とされていますが、真偽の程は定かではありません。 ■長尾地車の彫刻と額 【前正面】 |
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鬼板(おにいた):獅噛(しがみ) |
懸魚(げぎょ):朱雀 |
車板(くるまいた):龍 |
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木鼻(きばな)吽形:獅子鼻 |
木鼻(きばな)阿形:獅子鼻 |
【後正面】 |
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鬼板(おにいた):獅噛(しがみ) |
懸魚(げぎょ):朱雀 |
車板(くるまいた):龍 |
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摺出鼻(すりだしばな)左:鷲と猿 |
摺出鼻(すりだしばな)右:鷲と猿 |
後ろ正面見送り:唐獅子牡丹の額 |
幟台(のぼりだい):獅子 |
【側面】 |
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左側面見送 手前:獅子と牡丹 |
左側面見送 奥:龍 |
右側面見送 奥:龍 |
右側面見送 手前:獅子と牡丹 |
左側面枡合(ますあい) 前方:獅子と牡丹 |
左側面枡合(ますあい) 中央:獅子と牡丹 |
左側面枡合(ますあい) 後方:獅子と牡丹 |
右側面枡合(ますあい) 後方:獅子と牡丹 |
左側面枡合(ますあい) 中央:獅子と牡丹 |
右側面枡合(ますあい) 前方:獅子と牡丹 |
土呂幕(どろまく):波 台木(だいぎ):波 |
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【全面】 |
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勾欄(こうらん):波に千鳥 |
以前に聞いた長老の話は次のようなものでした。昔から当地区には別の地車がありましたが、村の経費節減のために売却されました。これに反発した若い衆が村を説得し南河内より購入したのが現存するこの地車だということです。 購入時期は明治40年生まれの長老が若者の頃の話ですから、今から80〜90年前、大正後期から昭和初期であろうと思われます。当時の竹内街道を牛に牽引させ数日がかりで移送したということです。したがって、この地車の制作時期など以前の経緯については不明です。 今回の修理でも経緯を示す証拠は見つかっていません。昭和40年代には応急修理が行われ、その際勾欄などが紅色に彩色されたということです。 ■近年の地車曳行状況
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『上地車新報』掲載記事より 拡大画像はこちら (JPEG 203KB)
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